今回は藤田和日郎先生の黒博物館シリーズ二作目のゴーストアンドレディについて書きたい。
19世紀ドルーリーレーン国立劇場で二人が出会う。
一人は決闘で死に、劇場に居ついた灰色の男グレイ。
一人は貴族階級ゆえ、自分の天命と信じる看護の道へ進むことが許されないフロレンスナイチンゲール。
フロレンス(フロー)はグレイに自分が絶望したときに殺してと頼み込む。自分が舞台の上の役者のようになったと感じたグレイはその願いを聞き入れ、フローと共に行動するようになる。
グレイはフローを殺すことが目的なのに、フローが窮地に立った時に見せる顔を見てつい手助けしてしまうんですよね。この辺、うしおととらでの主人公二人の関係性みたいでとても好きです。ツンデレ感。
特に印象に残ったのが戦場で上官の政治的な判断により思うように動けず悔しい思いをしていたフローに対してグレイが言った「自分が欲しいものを手に入れるための決闘しとしての戦い方」です。
攻め方|味方を作る
大きな敵を相手にするときはまず味方を作る必要がある。
一人では大きな敵には勝てない。
そこでフローは周囲の人に話をしに行きます。その中でフローと同じく傷病者へ手を差し伸べたいと考えていても周囲の妨害により実行できていない人たちを見つけます。病院の実情調査に来て問題を感じている議員さんや市民の基金を預かっているけど軍に受け入れてもらえず、活用することができない新聞記者。衛生状況に危機感を持っている医官などを味方につけて一緒に作戦を考えます。
そこで議員さんの依頼という形で外に洗濯場を建築、その際のお金は市民の基金で賄うことで衛生管理に必要な洗濯場を手に入れます。
また、医官さんからの依頼という形で、自身の蓄えていた食材や調理器具も使用できるようにしました。
敵の崩し方|馬を狙う
馬にまたがって襲ってくる敵は手強い。そんな時は馬を狙う。
敵が何に乗っているか見極めて、偉いやつに働きかける。
先ほどのような作戦をしている中でもフローは大臣や政治家に出来る限り手紙を送っていました。
その結果、大臣からの命令も下り、フローの行動は正規のものとなりました。
これらの戦い方はフローが自身のものとし、その後のストーリーでも使用しています。
どんな組織でも味方作りと馬を見つけることが重要
どんな組織でも自分の意見を通そうと思ったら味方を作り、偉い人に話を通し、外堀を埋めていくことが重要です。
私も最近それを怠った結果手痛い目にあっています。
新しい実験系を組むにあたって実験室を借りることになり、担当者間で話をつけて使い始めていたのですが、それを相手方の上司が聞きつけて実験を進められなくなることがありました。
社内ルールとして委員会に申請する必要があるし、そもそも話を事前に通しておくべきだというのです。
結局、実験内容などについて改めて説明することでお許しいただくことができました。
この結果から自分の意思を通すためには自分の周囲の小さな観測範囲だけで行動するのではなく、責任者や社内ルール、慣例を知ったうえで自分以外の味方を作っておく必要があるのだなということを学びました。
味方というのは人だけではありません。
ルールもよく読み込んでおけば思いがけない文章が自分の正当性を主張してくれたりします。
そんなことがあった折にこの漫画を読んだのでグレイの決闘者としての戦い方は非常に身に染みて感じられました。
定期的にこの漫画を読み返して、この学びを忘れないようにしたいと思います。
以上、ゴーストアンドレディの感想でした。